岐阜地方裁判所 昭和56年(わ)59号 判決 1981年8月07日
本籍・住居
岐阜県高山市神田町二丁目一〇四番地
貸金業
寺本精一
大正一〇年五月一三日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中山博善出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役五月及び罰金六〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、昭和四一年一二月から肩書住居地において貸金業を営んでいるものであるが、営業上の所得の一部について所得税を免れようと企て
第一 昭和五二年分の実際の所得金額が三、五五二万五、五八九円で、その所得税額が一、五五七万六、四〇〇円であったにもかかわらず、その所得の一部を除外したうえ、昭和五三年三月一五日、岐阜県高山市名田町三丁目八二番地高山税務署において、同署長に対し、昭和五二年分の所得金額が三四四万五、〇八〇円であり、これに対する所得税額が三五万三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一、五二二万六、一〇〇円を免れ
第二 昭和五三年分の実際の所得金額が三、〇三九万七、四一一円で、これに対する所得税額が一、二六六万四〇〇円であったにもかかわらず、その所得の一部を除外したうえ、昭和五四年三月一五日、前記高山税務署において、同署長に対し、昭和五三年分の所得金額が三五五万四、八八〇円であり、これに対する所得税額が四一万五、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一、二二四万四、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏の被告人に対する昭和五五年一二月一七日付、五月九日付、八月五日付、一〇月三日付、同月二三日付、一二月一八日付、八月二〇日付、一〇月二二日付、一一月二〇日付、一二月一九日付各質問てん末書
一 被告人作成の同年一〇月二二日付、一一月一九日付、一二月一九日付、昭和五六年二月四日付各上申書
一 桑山昭の検察官に対する供述調書
一 収税官吏の柿本大久治及び江津敏夫に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の各査察官調査書
一 押収してある金銭出納帳一冊(昭和五六年押第四七号の一)、手形受払帳一冊(同号の二)、貸付金台帳一号一冊(同号の三)、及び貸付金台帳二号一冊(同号の四)
判示第一の事実について
一 収税官吏の被告人に対する昭和五五年一一月一九日付、一〇月三一日付、昭和五六年二月四日付各質問てん末書
一 被告人作成の昭和五五年一一月二〇日付上申書
一 収税官吏の長瀬元吉、山下徳二、角島由恭、高原紀一、川上千義及び小倉さき子に対する各質問てん末書
一 河村三郎作成の中申書
一 大蔵事務官作成の聴取書
一 被告人作成の昭和五二年分所得税確定申告書(謄本)
判示第二の事実について
一 被告人作成の昭和五三年分所得税確定申告書(謄本)
(法令の適用)
一 罰条
所得税法二三八条一項(判示各罪について懲役刑と罰金刑を併科する。)
二 併合罪の加重
1 懲役刑について
刑法四五条前段、五七条本文、一〇条(犯情の重い刑示第一の罪の刑に法定の加重をする。)
2 罰金刑について
同法四八条二項
三 懲役刑の執行猶予
同法二五条一項
四 労役場留置
同法一八条
(裁判官 伊澤行夫)